現実を知っていると、
夢か幻のようなハッピーエンドが悲しい。
でも悲しい話ではあるが、
それが面白おかしく書かれているのである。
例えば、ちょこっと出てくる、主人公コチックの両親の
シー・キャッチ(父)とマツカ(母)のやりとりが、
まるで落語に出てくる長屋の夫婦みたいで
実に面白いのである。
「ねえ、あんた。」とうとうマツカが言いました。
「この子、白くなりそうよ!」
「そりゃ、空っぽのハマグリ、からっからの海草ってもんだ!」
シー・キャッチが鼻を鳴らしました。
「白いオットセイだなんて、今までこの世にいたためしがねえぜ。」
「あたしにゃ、どうしようもないわよ。」マツカが言いました。
「今までいないなら、この子が最初ってことだね。」
という具合に、調子に乗って
落語風に訳してみたりしたのだ。
さて次はまたまた別の話である。
ジャングルでも海でもないお話だ。
一言で言えば、ヘビとマングースの戦いの話である。
共通点と言えば、動物どうしがしゃべるということだけである。
少し休憩して、取り掛かるとしようかな。