電車に乗っている。降りて歩いて別の駅に行く。そこははるか昔の故郷の駅だ。黒っぽい木造の駅舎が見える。
そこから電車に乗る。家に帰るのは山手線の新宿・渋谷方面なのだが、今日は親戚の家に行かなければならない用事がある。それは上野方面なのだ。どうやらワタシは池袋で電車に乗ったらしい。
親戚の家につく。自閉くんと一緒だ。でも自閉くんは子どもではなくワタシの弟なのだ。そこはワタシの実家である。ただしきれいに片付いている。もう午後も遅い時間だ。
いとこ兄弟がいる、ような気がする。もう夕食が近いけれど、適当に食事を作ってもらおうと甘く考えていると、いとこのおじさんが
「ああ、お腹すいた、お腹すいた。」
と言いながら外から帰ってくる。
ああ、もうおじさんも定年退職だから、家にいるんだな。ワタシみたいに体調が不安定でもなく、こうやって呑気に平和に、ぶらぶらできるなんて本当にうらやましいなあ、と(皮肉でもなんでもなく)思う。
そう思っていると、おばさんが台所で夕食の支度を始めている気配がする。 これでは、いとこの家族の夕食の場におじゃますることになる。それも、突然二人も加わってしまっては申し訳ない。いや、まだワタシたちは気づかれていないかもしれない。夕食の頭数にカウントされていないかもしれない。
夕食いただいて帰りますとこちらから言った方が良いのか、それとも何も言わないで、このままさっと自閉くんを連れて帰ってしまおうかと思う。外はもう夕闇だ。そこには広々と畑が広がっているはずだ。帰るとすれば、またあの暗い木造の駅に行かなきゃだな。
気まずい思いで、どうしたら良いか決めかねていると、知人から電話がかかってくる。ケータイ(スマホではない)を取り出して電話に出ると、その知人本人は無言で何も言わない。用事はあるのだが、直接ワタシと話したくないんだと、直感的に思う。ますますいたたまれない気分になる。
電話が一度切れてから、メールが届く。おそらく今の知人のお母さまからで、お歳を召しておられるので、メールの字がやたら大きい。
「子ども(孫のことだろう)にケータイを持たせたいのだが、専用のメアドを決めなければならない。どういうものにしたらよいだろうか。ちなみに子どもの名前は○□△◇で、必ず数字(一覧)と絵文字(一覧)を入れなければならないのです。」
というようなことが書かれている。ああ、この方はいつもこういう、わりとどうでも良いようなことを聞いてこられるのだよなぁ。そう思いながら、それでもちゃんと返事をしようと思うのだが、久しぶりのケータイ(ガラケー)なのでメールがうまく打てないのだ。
そこで目が覚めた。
また夢の中で、じわじわと追い詰められてしまったか。