2015年2月1日日曜日

怖い夢 三つ

●一つ目
電車に揺られている。
まわりにいるのは顔の知らない“同僚たち”で、
とにかくわたしは逃げ出したいと思っている。
抜け出して、ほっとできたら、休暇の電話を入れよう。

でも誰かに面と向かって休みますとか帰りますとか

言うことはできない。
外見上はどうみても元気なのだから。
それにワタシだって、
どうしてここにいられないのか、いたくないのか
自分でも説明できないのだから。

(バスに乗り換えるから、そのタイミングだな)


そう思うと、もうそこはバスターミナルである。

でもデパートの中だ。
ターミナルにデパートが隣接しているのではなく、
デパートの陳列物の間を
神業のようにバスが通り抜けていく。
今も衣料品売り場の、ハンガーとハンガーの間を
バスが通り抜けていき
奥の試着室の方へと消えていった。

そんなごちゃごちゃした衣類にまぎれて

ワタシはどうにか脱出し、トイレに逃げ込む。
でもトイレの壁はビニールが吊ってあるだけだから
ちょっと脇からのぞかれると発見されてしまうのだ。

(これからどうしよう……)


そわそわしながら、そう思っているワタシ。


●二つ目

「バサッ」
テーブルから辞書を落としたような音で目がさめる。
ベッドから下を見ると辞書らしい分厚い本が落ちている。

(あれが落ちたのか……。どこから……?)


もう一度ベッドに横になる。真上に透けた天井が見える。

そこに天井を透かして辞書が見える。

(あっちの辞書が落ちたのか、あの天井へ。でもどこから……?)


●三つ目

畳の部屋に布団を敷いて横になっている。
うつ伏せになって、顔を左に向けてうとうとしている。

突然布団の下から、赤ん坊の右手が現れる。

まるで畳という海から、
ワタシの布団に上がってこようとしているみたいだ。
震えるほど驚く。

「ありえない……。こんなことありえない……。」


右手はワタシの左手の指をつかむ。

すると左手も現れる。
左手もわたしの左手の指をつかむ。
赤ん坊の指は柔らかく優しく、ワタシは少し安心する。
そしてあたまが現れる。

でもそれは赤ん坊の形をしているけれど

墨で塗りつぶしたように真っ黒だ。
これは赤ん坊ではない…。
わたしは叫び声を上げる。

…………そこで目が覚めた。


わたしはうつぶせで寝ていて、

叫び声をあげようともがいていた。

これだけ体調も回復し、仕事もできるようになったが、

今でも精神的には不安定な毎日を
ワタシは送っているのである。
今日の夢はそのささやかな例に過ぎない。

でもとにかく一歩一歩前に進むのである。