《鬱っぷちん Utsuppuching!》
◆〝鬱っぷち〟を歩き続けている電子書籍翻訳家が綴る、プログレ&ウクレレ風味な人生再起動奮闘記◆
2015年2月8日日曜日
「Live at The Orpheum」King Crimson
2013年に復活宣言がなされ、
2014年に予定通り復活したKing Crimsonの
2014年アメリカ・ツアーのミニライヴ、
「
Live at the Orpheum
」が届いた。
・41分と収録時間が少ない。
・Mel Colinsが参加した「Islands」期の曲中心。
・トリプル・ドラムの効果が疑問。
・音に凶暴さや、良い意味での危うさがない。
・ハットさせられるような新しいモノが無い。
などなど、不満点はある。
あるのだけれど、
Frippの“あの”ギターの音が聴けるのだ。
それだけでもう涙が出そうである。
この音を聴きたかのだよ、ずっと。
思えば80年代以降はアンサンブル中心であった。
70年代が個性のぶつかり合いだったことを思うと、
80年代以降どうしても物足りなく
残念に思ってしまう部分とは、
その個性の薄さだったと思う。
いや、メンバーの個性は十分濃かったのだ。
だからそれはプレイヤーの問題というより、
コンセプトの問題だったのだと思う。
つまり“
無記名性
”が大きなコンセプトだったと言って良い。
もちろん本作にそういう個性のぶつかり合いは無い。
でも「The ConstruKtion Of Light」を聴けばわかるように
Jakko JakszykのギターはAdrian Brewと違う。
同じことをやっているようでいて、
無機質さというか、人力シーケンサー感が薄いのだ。
まあMel Collinsが入っている時点で
Metal Crimson路線はもう無理なのだが、
全体的に記名性が復活していて
叙情性が増しているのである。
そう考えるとこのトリプル・ドラム編成は
無記名性志向の最後の名残りであり、
まさに過渡期的な編成なのだろうと思う。
つまりこのドラムスが一人になる時、
もう一度、各メンバーの個性やプレイが前面に出た
本当の新生Crimsonが立ち現れるんじゃないか、と
そんな気がするのだ。
70年代のようなぶつかり合いは無理にしても、
個々のプレーヤーが際立つバンドになったら、
待っていた甲斐があったというものだなぁ。
とりあえず、本作を聴きながら
妄想たくましく、新作を期待したい。
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