2015年2月23日月曜日

「ビフォー&アフター」を見て思う

あ〜あ、こんな素敵な家を建ててくれるんだ、
うらやましいなぁ、と思いながら
“思いもよらない事態”に驚き、
匠の“秘策”に感心し、
依頼者の“感極まった涙”に共感してしまうのだ。

特別な力を持った匠という人間が現れて、
不幸のどん底にいる隣人を
その秘めたる思いまで汲み取って
大逆転的大幸福にまで押し上げるという
ノンフィクション的ドラマである。

おもてなし的に善意を重ねていくところが
特に日本人の琴線に触れるのであろうなあと思いながら、
何となく見てしまうのである。
最後30分見ればOKという感じを昔から抱きつつ。

ただ、ちょっと思うのだ。
これはとても微妙なことなんだけど、
“危険と隣り合わせ”な家で
頑張って生活しているお年寄りのために、
生活しやすい空間を作るというのは
もちろん正しいのだけれど、
ふと、ああ、これでこの人はもう
二階へ上がる脚力が無くなるんじゃないだろうか、とか、
洗濯物を運ぶ腕力が無くなるんじゃないだろうか、とか。

つまり何もかもが楽になることが、本当に良いことなのかと。
微妙な部分なのはわかっているのだ。
今できているからと言っても、危険過ぎたらもちろんまずい。
でも、危険をどんどん排除して、
ほとんど動かなくても済むようになったら、
やっぱりほとんど動かなくなるんじゃないかとも思うのだ。

だからと言って、動けるギリギリセーフのところで家を作ったら、
すぐギリギリアウトになってしまうことは確かだろうし、
依頼者は、きっと喜んではくれないよなぁ。
難しい。

あと気になることが一つ。
最後の“幸せな様子”が、必ず
「家に人を呼んで食事をする」 っていうのも
どうかと思うなぁ。
住んでいる人がゆっくりゆったり幸せを感じられる家、
それで良いじゃないの。

でもそれじゃあ“絵的”に、
幸せな感じが漂わないのであろうなあ。
と文句を言いつつ、やっぱり見てしまうワタシである。