どこかの街に、出張で来ている。
そこは巨大なアミューズメントパークのある街で、
ワタシはその近くの、大きなデパートをうろついている。
エスカレーターで上ったり下りたり
物珍しげにあたりを見回しながら
雑踏の中を当てどもなく進んで行く。
しばらくして
(そろそろ宿に行こうかな。)
と思う。
アミューズメントパークでいつも賑わっている街なので、
ホテルはいつでもどこでも満杯だ。
そこでワタシは、いわゆるラブホテルに
一人で泊まることにしていたのだ。
結構安く泊まれるし
風呂まわりなどのアメニティが充実していたりするから
地方から東京へ出張で来た人が意外に利用していると
昔何かで読んだことがあるが、
それを今回実践してみたのだ。
そのラブホテルは何とデパートの2階にあった。
エレベーターが2階に着き、ドアが開くと、
まるで“どこでもドア”をくぐるったように、
目の前に昭和の街並みが再現されていた。
一歩踏み出すとそこには泥道が広がっているのだ。
(ここもアミューズメントパークの一部なのかな?)
そう思いながら、
ちょっとうらぶれたラブホテルを見つけて中に入る。
するとすぐ後から男女5〜6人のグループがやって来る。
「あぁ、ここだ、ここだ。」
と言う声が聞こえる。
どうやら彼らも出張でやってきたようで、
男女別れて別の部屋に泊まるらしい。
でもとりあえず、どちらかの部屋で
ミニ宴会を開くような相談をしているのであった。
(むこうもこっちも、
“ラブホをラブホらしく使わない仲間”ってことだな。
でもさすがに宴会はまずいんじゃないかな、
ラブホをラブホらしく使っている人たちに対して……)
そんなことを考えながらロビーでダラダラしていると
外が何やら騒々しい。
窓から外を見てみると、
近くのアミューズメントパークから
クリスマスをお祝いする巨大なオブジェが
風船のように宙を漂いながら近づいてくるのだ。
サンタクロースがいたかもしれない。
怪獣みたいなものもいる。
いろいろなキャラクターが団子状に固まって、
こちらに向かって転がってくる。
風船なはずなのにどのキャラクターも実にリアルだ。
でもその塊は、
通り道にある建物をなぎ倒しながら、
こちらに迫ってくるのだ。
ビル群の一角が次々とガラガラ音を立てて崩れてゆく。
それなのにあたりは拍手喝采の大歓声である。
(もしかするとこのデパートに激突するかも……)
でもそうやって
建物もろとも命が尽きるかもしれないことに
ワタシは妙に興奮しているのだ。
というような夢。
不安さは微塵もなく、
なんだか楽しかったのである。