校舎のような建物の2階の窓から
彼女が何か作業をしているのを眺めている
絵に描いたような平和な風景だ
黄金色の穂が果てしなく広がって
空気もほんのり甘く
あたりには静かな音楽が流れているかのようだ
彼女は何か農作業をしていて
これからわたしが合流しようとしているのもしれない
それともわたしたちは学生同士で
これから一緒に帰ろうとしているのか
彼女がニコニコと満面の笑みを浮かべて手を振るから
わたしも照れることもなく大きく手を振る
次の瞬間場面は一転する
空は黒雲で覆い尽くされ
今にも大嵐が襲ってきそうな雰囲気だ
空気はピリピリと張りつめていて
あたりには不穏さが充満している
彼女は同じ場所で誰かともみ合っている
二人とも倒れ込みながら争っている
彼女の顔や服が泥にまみれる
相手は女性のように見えるが定かではない
ただ圧倒的に体格で勝っているのがわかる
襲われていると言ってもいいかもしれない
何とかしなきゃとわたしは
迷うことなく建物の窓から飛び降りる
するとわたしの体は一旦ふんわりと浮いてから
タカが上空から獲物に襲いかかるように
彼女の居る場所へと滑空していく
どんどん加速して最後にふんわりと着地したのは
彼女が襲われている場所から10mほど手前だ
そこから地面を蹴ってありったけの力で走り出す
もう息をするのも忘れている
右手には先の尖ったものを持っている
それが何なのかは見ない…武器であることは確かだ
相手に気づかれる前にと思いながらそのまま突進し
彼女に覆い被さるようにして膝をついている塊に
体当たりをするようにぶつかる
しっかりと腰のところでその武器を構えたまま…
確かな手応えを感じる
水中からやっとの思いで水面に出たかのように
そこで息をする…でもうまく呼吸ができない…
すると その塊はちょっとこちらを振り向いてから
大爆発してしまう
目が覚める
心臓がバクバクと動いていて苦しい
でも息が出来ないわけではない
心臓の動きが激しくて動揺しているのだ
深呼吸する…体の力を抜く
リラックス…リラックス…
次第に体も気持ちも落ち着きを取り戻す
夢はそこで終ったけれど
彼女を助けることが出来たという実感が残っている
で…わたしは助かったんだろうか…