誰も知らないうちに
誤作動したアメリカの核ミサイルの発射スイッチが入り
もうすでにカウントダウンされているのである
目標はワタシたちの日本
もう発射まであと10秒しかない
パソコンを触っていたワタシはたまたまそれに気づいて
ウソだろと思いながら「延長」ボタンを押す
するとカウントダウンの数字は変更され
さかのぼるように残り5分から再開する
これは冗談だと思いながらずっと気になっていて
しばらくしてからやっぱり本気で止めなけりゃと思う
カラダが急に緊張しだし集中力が増して来る
おそらく残り時間はすでに1分ぐらいか…
何か“普段の”仕事をしているのを中断して
ワタシはパソコンルームに走り出す
事の重大さに気づいたのか
何も言わずに右側を並走してくれる男性は
電気技師のような作業服を着ている
おそらくパソコンやネットワークの専門家だ
無骨で実直そうな中年の男性である
後ろからもう一人追いついてきて
ワタシの左側を女性が走る
ショートカットの若い人で事務員のような服を着ている
普段はパソコンとはまったく関係ない人だったけど
実はそういう特技を持っていたのか…
いや…実はこの日のために潜入していた工作員かも…
まるで戦隊もののヒーローが敵地に乗り込むかのように
ワタシは両側に頼もしい助っ人を得て
ワクワクしながら走っているのである
でも残された時間はあとわずかなのだ
その頃ちまたの小学生たちが
大人よりも先にミサイルの事に気づき
子ども同士のネットワークで伝え合う
ケータイでもスマホでもなく
LINEでもTwitterでもfacebookでもなく
実際に会って直接伝えるという超アナログな方法だが
それは瞬く間に全国の子どもたちのネットワークになり
ネットワークは文字通り実体のある防御ネットとして
核ミサイルから自分たちを守る盾となる
がんばれ子どもたち!
ワタシも仲間と最後の最後までがんばるから!
みたいな…
ちょっと昭和な匂いのする
SF巨編な夢だった
「延長ボタン」というのが良いねぇ
ちなみに並走していた二人の仲間は
現実世界でもアニメなどの空想世界でも
まったく見覚えのない人たちであった
まったく見覚えのない人たちであった