召使いゆえに親しく話をすることも禁じられていながら、
苦しんでいるハイジを影で支えようとするセバスチャンが
帰ろうとしてロッテンマイヤー女史に捕まってしまったハイジを
なぐさめながら部屋へ連れて帰る場面。
「落ち込まないでくださいね、負けちゃだめですよ。がんばるんです! こんなに賢いお嬢さんだから、連れて来られても一度も泣かないでいられたんです。同じ年の子どもなら、一日何十回も泣くものです。子ネコたちは上の隠れ家で楽しくやってますよ。あちこち跳ね回って、どうかしたみたいに動き回ってます。あとで上まで見に行きましょう。あの人がいない時にね?」
おばあさまのように教え導く知恵も
ゼーゼマン氏のように状況を変える力もないけれど、
精一杯元気づけようとする思いが伝わってくる。
特に善人というわけでもないし、
オレがハイジを守ると心に誓ったわけでもない。
むしろ普通のちょっと頼りない人である。
オレがハイジを守ると心に誓ったわけでもない。
むしろ普通のちょっと頼りない人である。
最後にハイジをアルムに送り届けるときは
山歩きが嫌で、地元の見知らぬ人(パン屋さん)に
託して帰ってしまうような人だ。
そういう人が一瞬、こういう優しさを見せるところが
実は「ハイジ」の魅力でもある。
一見すると敵・味方がはっきりしているようでいて、
実は誰も一筋縄ではいかないところが
オリジナル長編ハイジの凄いところである。
泣けてきますね。この優しさ。