2014年10月19日日曜日

「コクリコ坂から」はとっても良い!

主人公メルを中心に、地味な子どもたちによる
地味で真面目で薄暗くて悲しくて、美しいお話である。
あらためてDVDで見たくなって、
久しぶりに見てみたら、とっても良かったのだった。



オーバーアクション気味な動きによる感情表現は無いし、

主人公の表情も時に能面のようですらある。
今見返してみると、それはまるで
宮崎駿作品との違いを打ち出そうと
ムキになっているかのようですらある。
メルもほとんど走らない。黙々と歩くのだ。

そこが淡々と運命を受け入れながら
真っ直ぐに生きていこうとする主人公たちを
逆に浮かび上がらせてくれる気がするのだ。
(さすがにもう少し表情が欲しい場面もあるけれど…)
派手な演出が無い代わりに、とても丁寧に日常を描く。

宮崎駿の作品でももちろん丁寧に描かれるのだが、
ここでは感情を伴わずに淡々と描かれていて、
それ自体が作品の大きなカラーになっているのだ。
この心地よさは宮崎駿作品には無い。

メルが夢の中で父親に抱きつくシーン、

赤ん坊の駿を奪うように引き取る義理の母親のシーン、
メルが駿に真っ直ぐに目を見ながら告白するシーンで
思わず涙が出てしまいました。
あとラストの歌が流れたところでも…。

「山賊の娘ローニャ」でジブリを飛び出し、

初の3DCGによる作品を手がけることになった宮崎吾朗監督は、
多分父親との内面的な確執が
「ゲド戦記」「コクリコ坂から」で表面化したことで
さらにさらに屈折したのではないかと思う。

その屈折や怒りは、並大抵のものではないはずだ。


だからこそ、ジブリの枠をはみ出した

何かすごい作品を作ってしまうのではないかと、
「コクリコ坂」を見て、思いを新たにしたのだ。

「あたり前田のクラッカー」とか
GS風な音楽とか
赤いマリンタワーとか
いろいろ懐かしい映画であることにも
今頃気づいたのでありました。