触手のような手足を持つタコ型宇宙人というのも強烈だが、
その細部の描写を読むと唸る。
現代に至るまで強い影響を及ぼしているのがわかるのだ。
二つの大きな黒い目が、微動だにせず私を見つめていた。その目を包み込む塊、つまり頭に当たる部分は丸く、顔と言えるようなものがあった。目の下には口があり、唇のない縁だけが小刻みに震え喘ぎながら、唾液を垂らしている。そして体全体が波打ち、けいれんしているかのようにピクピクと震えているのだ
「宇宙戦争 第4章 円筒の蓋が開く」より
今でもちょっと油断すると
こんな宇宙人を描いてしまいそうである。
さすがにタコ型ではないにしても、
巨大な目に唇のない口なんて、
“グレイ”にちゃんと受け継がれているものね。
そして火星より地球の方が重力が大きいせいで
この火星人は辛そうに動くのであるが、
この一見すると人間よりもはるかに無力な生き物が、
圧倒的な強さでロンドンを襲うのである。
この落差も実に面白い。
文章も簡潔で、読みやすい。
訳していて楽しいのである。
これから火星人の侵攻が始まるのだ。
ドキドキしてしまうぜ。
しばらくこの、火星人来襲の世界に浸ることになるが、
楽しく作業ができるというのは嬉しいなぁ。