自閉マン高二くんはバス写真を撮るのが趣味である
土曜日は近くのバス停に出向き
日曜日はちょっと遠くのバス営業所まで足をのばす
付き添うのはわたしの仕事である
ちょっと調べてみたら
何か外に出る趣味をと思いカメラを持たせてみて
やがて写真に興味を持つようになったのは
2007年のことだった
高二くんじゃなくて小六くんだった頃だから
かれこれ5年も経つのである
以来天気が良ければ原則毎週末
場所の変遷はあるがバス写真を撮りに出ているのだ
偉いなぁわたし
最近土曜日に定着した感のある駅前のバス停は
本屋さんの近くにあって
わたしは本屋さんの建物脇の
細い路地に入るあたりでいつも立っている
ただぼぉ〜っと音楽を聴きながら立ち続けている姿は
傍目にはちょっと不思議/不審に映るかもしれない
ところが今日その本屋のご主人と思われるおじさんが
店の周りをうろうろしながら開店準備をしていた時
通りすがりにわたしに声をかけてきたのだ
「日陰じゃないから暑いでしょ、大変ですねぇ。(道の)向こう側なら日陰になるけど、今度はヤブ蚊がいるからねぇ。」
「…(ちょっとドキドキしながら)そうですねぇ、ホントに…。」
突然話しかけられて満足な返答ができなかったが
後から考えてみたら
「おたくは何をなさっているんですか?」でも
「どなたかと待ち合わせですか?」でもない
おじさんは明らかに
わたしが何をしているか知っているようであった
まぁ5年近くも通い詰めていれば
週末にぬぼ〜っと30分近くただ立っている男のことは
店の中で話題になったことがあってもおかしくない
「あぁあの人ね?カメラ持った男の子を見守ってるみだいだよ。お父さんだろうねぇ、毎週毎週ご苦労なことだねぇ。しかしあの子も大きくなったもんだ。」
なんて会話があったのかもしれない
でもびっくりはしたけれど
全く知らない人ではあっても
ねぎらいの言葉をかけられたようで嬉しかったのだった
それに見ていないようで人は見ているもんだなぁ…
見ていてくれるんだなぁ…
とかも思ったりして
見ていてくれるんだなぁ…
とかも思ったりして