2015年10月25日日曜日

「ももへの手紙」

自宅で一人、「ももへの手紙 」を見て涙する。

ストーリーだけを追えば、ベタな内容だし、
物語の展開的にも、終盤の説得力が欠けるとか、
親子の関係の変化に深みが感じられないとか、
妖怪たちに魅力がないとか、
最後がきれいにまとまり過ぎだとか、
いろいろ言われていて、
もっともだとうなずく点も多いのだが、
でも、楽しく見ることができたのであった。


何と言っても作画が綺麗なのだ。
背景の美しさは言うに及ばず、
人物の動きや表情がとても魅力的なのである。
何よりまずストーリー展開を優先して見る人には、
この映画の評価は厳しくなるだろうとは思う。
大きな流れではなく、
ちょっとした振る舞い、間の開け方、表情の変化が、
とても気持ちの良い作品なのだから。

瀬戸内の島の風景も良い。美しい。
そのひなびていて、ほのぼのしていて、
でも生活や歴史や濃い人間関係がちゃんと存在している
村社会のたたずまいが実に良く出ているのである。

その雰囲気やリズムみたいなものに、
ももの声、反応、行動などが、
うまく溶け込んでいるのだ。

確かに、喧嘩したまま父が亡くなってしまったという
悲しい過去の思いを抱き続けているももではあるが、
そういう主人公だからと言って、
四六時中そのことを思い出してウジウジしているというのは
現実的ではないだろう。

この作品では、このももの中の暗さと明るさの微妙なバランスが、
現実的な形でうまく取れている気がするのだ。
その適度な距離感が、逆にリアルであり、気持ち良いのである。
そこにまた、ジブリの主人公のように前向きで積極的ではない
ももという女の子の、やわらかな魅力が
じんわりと出ていると思うのだ。

ベタな設定でも泣けるのは、
ももの描き方がとても上手いからだろうな。

それから、三人の妖怪以外の
落書きのようなウジャウジャした妖怪が良かったな。