過去5冊に比べてやっぱり知名度が違うと言うことか。
「あしながおじさん」の売れ行きが好調である。
今のところ一日一冊ぐらいのペースで売れているのだ。
夏休みに突入ということもあるかもしれないな。
子どもらがデジタル書籍で読書するというのも
今のご時世、あながち意外なことではなくなっているのかもしれない。
もちろん「あしながおじさん」は子どもだけでなく
子ども時代に読んでまた読みたくなった人も
子ども時代に読まなかった人も楽しめる、
実に良くできたお話なのである。
文章もプロットも本当に素晴らしい。
柔らかな独り語りというシンプルな構成で
これだけの物語を作り出したジーン・ウェブスターという人は
本当に才能豊かな人だったんだなぁと思う。
直接的には、ユーモアと若さにあふれた
主人公ジュディの文章の魅力ということになるんだけどね。
だから翻訳していて楽しかったのだ。
もちろんその楽しさをちゃんと伝えられるかとか、
それ以前の問題として誤訳や誤植はないかとか、
あれこれ考えると最後まで気が抜けないという点ではもちろん
“楽しい”とばかりは言ってられないにしてもである。
さて、また次回作用の資料本が集まって来た。
やっぱりすでに翻訳がされている本ならば
それを読んでおく必要があると思うのだ。
もちろん参考になる部分もたくさんあるわけだけど、
それは自分が翻訳する際の基準になるからだ。
全体の印象として
「ワタシなら、これを越えた翻訳ができる!」
と思えることが大きなモーチベーションになる。
つまり最後は日本語の問題なのである。
読んでいて、すうっとアタマに入ってくるなめらかさ。
そういう自然さや心地良さは、
重ねられた描写がどういう感情や行動に向かっているかを
きちんと把握しないと出て来ないのである。
そのためには
主人公などの気持ちの流れや話の展開を細かに辿る必要があり、
当然物語世界にかなりどっぷり浸かることになる。
そういう点では次回作を考える時、
どっぷり浸かって心地良い物語が良い気がする。
じゃあホラーはどうか?と考えると
心配でもあり楽しみでもあるかな。
さてもう少し養生しようかな。