「風立ちぬ」制作時期をメインに
宮崎駿、鈴木敏夫を中心とした
スタジオジブリの仕事の様子を描くドキュメンタリー映画
「夢と狂気の王国」を見た。
前から見たいと思っていて
いつも貸し出し中で残念な思いをしていた作品だ。
もちろんちょっとしたカットから
アニメーション作りにどれだけのエネルギーを注ぎ込んでいるかが
ぐっと伝わって来るところや
色々な人が口にする言葉の重みに
あらためて感心したり元気をもらったりしたのだが、
何よりもこの空気感が新鮮なのであった。
自然の風景や仕事場の様子などが
ピアノ演奏の音楽に乗って映し出されると、
ジブリという仕事場の日常的な雰囲気が伝わって来る。
その撮り方や繋ぎ方がTVの特集番組などのように
監督の苦悩や心情に迫ろうとか
作品の舞台裏を紹介しようとかいう風に
押し付けがましいわけでも
何かを狙っているわけでも
どこかに向かっているわけでもなく
淡々としているのが良いのだ。
でも淡々としているんだけど詩的なのである。
ワタシは「川の流れはバイオリンの音」という
ドキュメンタリータッチの映像詩を思い出した。
そういう風な味わいのある映像作品にも
この映画はなっていると思ったのだった。
だからジブリの語られていない“秘密”を垣間見たいというのなら
この映画はそういう風には作られていない。
でも見終わるともう一度「風立ちぬ」を見たくなるし
真剣に仕事に向き合うことの厳しさや楽しさを
再発見したように気持ちになるのである。
映画の中を流れていく時間が良いなぁ。