2014年12月24日水曜日

カーミラに対抗できるのは今、かもしれない

今翻訳中の「吸血鬼カーミラ」はある種の“魔物語”である。
そこには「お岩さん」とか「平将門」とかいうような
題材として扱う際にお祓いが必要となるような怨念はないけれど、
禍々まがまがしい存在を扱っている点は似ているかもしれない。

その「カーミラ」の物語は、訳していて楽しいのだ。

変に怖さを盛り上げようみたいないやらしさがない。
自然に描写も美しいし、語り手の心理表現も繊細である。
でもじわじわ怖いのである。
それこそ“魔力”を感じるのだ。

やはり翻訳だとは言っても、

カーミラの魔力に取り込まれないようにしないといけない。
そんな気さえするほどなのである。

でも、ふと思ったのだ。

まだ五十日祭(仏式の四十九日)にも至っていないワタシは
いまだ「忌中」の身、つまり「穢れ」た状態なのだ。
そのことが、「魔」に対抗する力を
与えてくれているのかもしれない。
そう考えること自体が、なんだか面白いのである。

ということは、まさに

今だからこそ扱えた題材、今のうちに仕上げたい題材と
言えるかもしれないな。
ちょっとした因縁みたいなものを感じるのである。

そう思ったらパワーが出た。気合が入った。

このじわじわクル感じをうまく訳せるかがポイントだけど、
慎重に、丁寧に言葉を選びながら、
カーミラの物語を、しっかり語ってあげたいと思う。