「以前はクレジットカードとか色々な申し込みに、固定電話(家電)でないと受け付けてもらえないことが多かったのですが、今は携帯でも良くなってきていますね。
でもそうすると、ここに来られる方の中には『連絡先』欄に誰の番号を入れるかで結構悩まれる人が多いんですよ。「この人はわたしは知らないから電話されても困る」とか「この話はわたしにはわからないから、あなたの電話番号を書いて!」とか。先日もそんなことでもめていらっしゃるご夫婦がいらっしゃいました。」
香典返しでサービスカウンターに行った時に
担当してくれた女性のお話である。
こういうちょっとした話がまた面白いのである。
どうもワタシは雑談が好きなのだ。
先日の葬儀の時も、司会進行の女性とだいぶ立ち話をしたし
葬儀社の方にも
「ご自身が、幽霊に会った、みたいな怖い経験はないんですか?」
なんてことも聞いちゃったし。
面白い話が聞けるかもしれないというわけではなく、
相手の気持ちがふっとゆるんで
距離が近くなる瞬間が好きなんだろうな。
そして実際、そうやって少し距離が近づいた方が
作業や仕事への気持ちの入れ方が変わる気がするのだ。
もちろんみなさんプロだから、
目に見えて大きく変わるわけではないんだけど、
どこか少し“仲間”意識が生まれる気がするのだ。
そういうのが心地よいんだなぁ。
ちなみに葬儀社の方によると
「ご期待に添えずに申し訳ありませんが、わたし自身仕事上でそういう経験は一切ないんです。わたしも父を亡くしていますが、その時も何もありませんでした。ご遺族の方からは時々お聞きしますけど。実際にはもう入院されていた亡くなる前日に、きちっとした格好でその当人が挨拶に来たとか。」
確かに、思いっきり見方を変えれば
葬儀社がやっていることは“イベント運営”である。
禁忌の知識や儀式の手順を知っていることは大事だけど
仕事として考えたら、霊だの祟りだのと騒ぐ世界とは
まったくの別物なのであろうなぁ。
というようなことも、
ちょっと相手との距離を縮めたことで知ったのである。
なかなか楽しかったのであった。