2014年6月2日月曜日

「ケンジントン公園のピーター・パン」第一稿完成!

全六章を本日訳し切った
あと残り少しのところで
ノドも痛いから今日は寝ようと思ったのだが
やっぱりここまで来たら訳し終えるまで眠れなかったのだった

今回の「ケンジントン公園のピーター・パン」は
分量的には「オズの魔法使い」の半分ほどだが
前に述べたようにとにかく段落替えをしない文章で
会話でも改行しないことが多いので
その密度が全然違っていた

同じような書き方をしたら
「オズの魔法使い」と同じとはいかなくても
2/3くらいの分量にはなるんじゃないかという内容であった
そしてその密度のおかげで
翻訳に立ち向かおうというエネルギーが
今まで以上に必要な作品でもあった

もっともその異様な世界に浸るのが楽しくて
先を読みたいという思いで
何とか立ち止まらずに作業を続けることができた

実在するケンジントン公園の描写を導入に持って来て
妖精や鳥やピーター・パンという幻想世界が交錯する
妖しくも悲しい物語を綴った
希有な作品というのが全体の印象である
アーサー・ラッカムの挿絵を含めて
実にイギリスっぽい暗さと悲しさ
そして幻想美にあふれている

後半部分の白眉は
生まれて間もない姿で裸のまま生き続けるピーター・パンと
夜のケンジントン公園を彷徨い
妖精やピーター・パンに会う
四歳の女の子メイミーとのやり取りだろう

幼い二人がまるで大人の男女のように
親と恋人の間で
そして現実と夢の間で苦悩し合うという
出会いと別れの物語を演じるのだ
純真な子どもだからこそ
幼い心をフル回転させて悩む姿が切ない

さあ第二稿からはルビを入れて
さらに挿絵も用意していくぞ!