「ケンジントン公園のピーター・パン」第6章「ピーターのやぎ」で
自分と一緒に来て欲しいピーターと
ピーターにとても魅かれながら
お母さんのところにも戻りたいメイミーとの
気持ちのズレが決定的になる場面
ある意味クライマックス
メイミーはピーターのところへ行って「どうなすったの、ピーターさん」と怪しみながら尋ねました。
「ああ、メイミーさん」とピーターは叫びました。「あなたが、帰れると思っているのなら、あなたをつれてゆくのはよくないことです。あなたのお母さんは」ーここで、また、こみあげてくる哀しさを呑み込んでー「あなたは、僕ほどには、お母さんというものを知らないんだ。」
メイミーはピーターのそばに行きました。「どうしたの、ねぇ、ねぇピーター?」メイミーは何が起ったのか分からずに言いました。
「ああ、メイミー」ピーターが叫びました。「君だけがもう一度戻れるって思っていながら、一緒に付いてくるのはずるいよ!君のお母さんは…」ピーターは再び息を飲みました。「君はぼくほど、お母さんていうのを知らないんだ。」
上が「ピーター・パン」(本多顕彰 訳、新潮文庫)の訳文
初版が昭和28年だから言葉も堅苦しい
でも文庫で唯一手に入る本である
下が今回ワタシが訳したものだ
「言いました」なのか「聞きました」なのか「尋ねました」なのか
ちょっとした言い方の違いも気になる
ここは原文が「said」で「聞く」ことに重点を置くのではなく
思わず声をかけてしまう様子なのだろうと思い
敢えて原文通りに「言う」にしてみたのだけど
「怪しみながら」は原文が「wondering」なので
「どうしたのかと思いながら」ということなのだが
ピーターの唐突な行動の緊張感を保たせたいので
「何が起ったか分からずに」と膨らませてみたのだ
「良くない」は「ずるい」と訳したが
原文は「it isn't fair...」だ
この「fair」の訳が難しかった…
という具合に大格闘中である
かと思うと簡単なところで大きな勘違いをしていたりするから
まったく困ったものである
でももう少しで完成だ
風邪は小康状態である
でももう少しで完成だ
風邪は小康状態である