2014年6月22日日曜日

ジュディの違い

「あんれまあ!ニューヨークってでっけいなぁ!ウースターなんて問題にならない。あなたはほんとうにこんなごちゃごちゃのなかで生活してらっしゃるの?二日いただけでぼうっとなってしまって、何ヶ月かかったってなおりそうもないわ。」
(谷川俊太郎 訳、1988年)

「たまげましたわ!ニューヨークって、大きいところですのね。ニューヨークに比べたら、ウースターなんて町じゃありません。あんなめまぐるしいところに、ほんとにあなたはすんでいらっしゃるのでしょうか?わたしは、二日間で目が回ってしまって、一月やそこらでは、回復しそうにありません。」
(前田三恵子 訳、1973年)

「もうびっくりです!ニューヨークって大きいのですね。ウースターなんて全然たいしたことありません。あなた様は本当に、あのごちゃごちゃした街に住んでいらっしゃるのですか?わたしなんてわずか二日で目を回してしまった上に、数ヶ月程度では回復は難しいと思っているところです。」
(拙者訳、2014年)

手紙文というのはその時代の言葉遣いを如実にあらわす気がする
翻訳者の個性や意図もあるだろう

ワタシとしては原文のニュアンスをできるだけ伝えつつ
不自然な回りくどい訳にならないようにするという
バランスをとにかく考えている

加えて「あしながおじさん」の場合はジュディという女性を
知的でまじめで純粋でユーモアにあふれるつつ
決して馴れ馴れしくならないという
大人の女性として描きたいのである

しかし言葉選びにとても時間がかかるのだ
まだやっと半分行くか行かないかである
がんばれワタシ!梅雨が終ることにはきっと完成しているから