2014年3月14日金曜日

卒業証書を取りに走った事件

今日の午前中は子どもの卒業式であった
「卒業式」には色々な思い出があるから
どうしても目の前のことよりも昔のことに気持ちが行ってしまう

「文化祭」のような行事もそれはそれで面白いんだけど
「入学式」や「卒業式」の方が印象に残っているのは
あの緊張感の中で関係者として動くことが
結構スリリングで面白かったからじゃ無いかと思う

単位制の昼夜間定時制高校に勤務していた時は
単位の取り具合で3年で卒業する生徒もいれば
最長6年で卒業する生徒もいるから
ワタシが1年時から担任した生徒を3年次で卒業させた後
引続き4年次5年次6年次と連続4回毎年卒業生を出したのだ

新設校だったから教職員も少なく段取りもまだまだで
3年次の卒業式のことであったろうか
いざ校長先生が「卒業証書」を生徒一人一人に渡そうとしたら
肝心の「卒業証書」がどこにもないという事件があった

作ったことは間違いない
卒業生の担任だったワタシはとっさにアレコレ考える
あ…もしかして発行台帳との割印を押して乾かして
後は会場の体育館へ持って行くだけということで
職員室の空きテーブルに置いてあったのを見たような…

ワタシは走った
トップのクラスではなかったので呼名までは時間がある
と言うか「証書」が無ければ呼名どころじゃないんだし
体育館の階段を駆け下り校舎の階段を駆け上がり
息を切らして職員室へ飛び込むと
思っていた通りの場所に「卒業証書」が置いてあったのだった
きれいに揃えてお盆に乗って
確かに「後は持って行くだけ」になったままで

結局準備段階の担当は決まっていたんだけど
完成した後それを“誰が”式場に持って行くかが
決まってなかったのだった…

それを抱えて再びワタシは走った
その間どのくらいの時間だったかは分からないけど
式は中断せざるを得ないはずだと思って焦っている
実際は「アレ?ちょっと間が長いなぁ」と思ったくらいだったと
後から同僚の先生が言っていたから
ザワつくほどの違和感は無かったみたいだったらしいが

体育館に着くとそのままフロアの端を走る
見る人が見れば「あ、卒業証書忘れたらしい…」と分かる…
と思うとかなりハズカシいのだがそんなことは言ってられない
無言で滑るような速足でにフロアーを縦断し
舞台袖に飛び込んで待っていた介添え係の先生に預けると
ワタシは全てのエネルギーを使い切った気分であった
その後自分のクラスの生徒の呼名があったのだが…

でもそういうことを含めて
緊張感の中で関係者が力を合わせて何かをやるという感じが
今の生活には無いなぁと思ったのだ
  
フロアにイスを出して並べ紅白幕も張り終わって
さあ会場準備完了みたいな達成感とか
さあ式が始まるぞっていう時の卒業学年担任団の連帯感とか
阿吽の呼吸でBGMが流れる瞬間の一体感とか
やっぱり一致団結して事にあたっている感じは良いものなのだ

なんていうようなことを思っているうちに式は終った
何だかとても懐かしい気持ちになったのであった